サルビア

「ごめんなぁ、待ったかぁ?」

「涼くん!」


あたしが叫んだ途端、しつこかったホストの態度は、急変した。


「あっ、涼さん…お疲れ様です!」

「ドコのコ?」

「〇〇です!」

「あ、そうなん?頑張りや~。朝日行こうか!」

「うん!」


あたしはこの時、全くホストの世界を知らなかったけれど、涼も雑誌に載ったりして、すごく有名な人だったらしい。


「飯でも食うかぁ!」

「うん!」


2人でミナミの街を歩く。

周りの人が、「〇〇の涼や!」と振り返る。

あたしはそんな人の横にいる事が、とても嬉しかった。

同時に、「〇〇のエリや!」と、言っている人もいたけれど…