家に帰って来たあたしを待っていたのは、真っ暗な部屋と、お風呂から聞こえるシャワーの流れ続ける音だった。

エリはこんな時間に、風呂に入ってんのか…?

かれこれあたしが家を出てから、2時間くらいが過ぎていた。

台所の電気を付けると、テーブルの上にあった、白い封筒に目を奪われた。

近くに寄って、封筒に書かれている文字を、覗きこんだ。


『朝日へ』


それを見た瞬間、あたしの頭に、悪夢がよぎった。


「エリ!エリ!」

大声で叫びながら、風呂場へ走った。

大丈夫…大丈夫…

自分に言い聞かせながら、返事のない扉の前で、「エリ~!」ともう1度叫んだ。

風呂場からは何の返答もなく、ひたすら流れ続けるシャワーの音が、あたしの不安に拍車をかけた。


「エリ!」