サルビア

それからしばらくして、あたし達はホテルを後にした。

あたしは急いで家に帰った。

まだエリは帰ってなくて、ホッとしながら、部屋でボーッと色んな事を考えた。

エリがあたしを嫌い…

言われてみれば、あたしばっかり幸せに育って、エリが涼を好きやのに、あたしは涼を好きになった。

嫌われても、当然かも知れんな…

そんな事を、考えていた。


でもじゃあ、エリが手首を切った夜、2人で一緒に寝ながら、話した話は、全部嘘なん?

母親が来た日に、あたしに話してくれた後、2人で大泣きした事も、全部嘘なん?

あたしはエリを、必死で守りたいって、思ったのに…


その時、玄関がガチャッ…と開く音がして、エリが帰って来た。

「ただいま…
朝日、早いな…」

仕事に疲れきった顔をしたエリが、あたしの部屋へとやって来た。