サルビア

エリはあたしを、嫌いなんや…

妹やって、家族やって、思ってたんは、あたしだけなん?

悲しくて言葉を失ったあたしの頭を、涼が優しい笑顔でポンポンと叩いた。

エリの気持ちを知って、涙目になっているあたし。

涼はそんなあたしを、ガバッと抱きしめた。

「俺はお前の事、好きやから…」

「ありがと…
でもな…」

「ん?」

「あんまりエリに、無理ささんといて…」

嫌われてても、こんな心配をしてしまうあたしは、お人よしなんやろうか。

でも、離れて暮らしてたって、エリはあたしの妹やろ?

家族やろ?

そんなあたしの言葉に、涼はあたしから離れた。

「仕事の事?」

「うん…
本間にもう、エリボロボロやねん…」

涙ながらに訴えるあたしに、涼は言った。

「あいつさ、俺と一緒に、東京行く気やねん」


そうか…

エリは、大事な人の為って言ってたっけ。

頑張って涼を支えて、いつか涼と一緒に、ミナミから出て行くつもりなんや。

それほどまでに、涼が好きなんや…