相変わらず暇なお店の待機室で、テレビを見ながらボーッと過ごす。

周りの女の子は、同じようにテレビを見たり、漫画を読んだり。

何人かで、楽しそうに話している子もいる。

あたしはエリの紹介で入り、それに加えてエリに似たこの容姿のせいで、他の女の子達はあたしに寄り付かなかった。

エリはお店からも優遇されていたし、何より稼いでいたから。

女の子達は、エリを妬んでいたんだろう。

別にいいけど。

気の合いそうな子もいないし。


そんな事を思っていたら、携帯が鳴った。

ピピピピピ…

涼からだ!

慌てて待機室を出て、電話をとった。

「もしもし…」

「ああ、今仕事…?」

いつになく、テンションの低い涼。

「そうやで」

「なぁ、今から会われへん…?」

「何か…飲む気分ちゃうわぁ…」


涼には会いたかった。

でも昨日、エリから妊娠の事を聞いて、そんな気分にはなれなかった。