自転車の彼

今思えば、高校生が中学生なんて相手にするわけないのに。



その時、私は海斗に夢中だった。


「なにそれ?」

「煙草……」



海斗がズボンのポケットから落としたそれは大人の香りのする未知の物体で。



私は……


「吸いたい」



背伸びした。