『かのこ、お兄ちゃんの友達の海斗君分かる?』



中3の春にお母さんが言った。



知ってるも何も、海斗はお兄ちゃんの親友で、私にも良くしてくれる人だった。



オマケに県一の進学校に通っていて、爽やか系のイケメン。




淡い憧れを当時の私は海斗に抱いてた。


それは、まだ好きとかっていう感情とは違ったけれど。



「知ってるけど、なんで?」


『あのね、海斗君にかのこの家庭教師してもらうことにしたから』

「"したから"って、海斗君は受験生でしょ??私の面倒なんてみる暇ないって!!」


それに、私は誰かに家庭教師をしてもらわなきゃいけないほど馬鹿じゃない。



ある程度の高校なら自力でなんとかなる。