「お疲れさまでした。」



午後7時。亜由美が店を出た。



俺は彼女に気づかれないように後をつける。



彼女の家は職場から近かった。
バスも電車も乗ることなく徒歩で15分。煉瓦色の2階建てのアパートだった。



彼女が家に入って行く。



俺は急いで後を追い、チャイムを鳴らした。



「はーい。」



彼女の声とともに玄関のドアが開く。



「え?」



俺の顔を見るなり、彼女は目を丸くした。



「な、なんでここに?」



「ごめん、どうしても気になってキミの後をつけてきたんだ。子供達に会わせてくれる?」



「ちょ、な、なんなの?!あなた。」



俺は半ば強引に彼女の部屋に上がり込む。



リビング入ると、鈍感な俺ですら気づく異様な空気。



その中に、子供達はいた。



2人ともじゅうたんの上に正座をし、兄はランドセルを背負い、弟は黄色い幼稚園バックをしょっていた。