恋愛非常口


家に帰って、明日の準備をする。
腕時計や方位磁針など
班長が持っていく物はたくさんあった。
そんな中、僕はもう1つ
大きなものを持っていかなければならないんだ。

それは、明日の朝
必ず持つべきか持たないべきかを
問われるもの。

“勇気”

そう、告白するための勇気を
僕はちゃんと心に持っていかなければならない。

夜はやっぱり眠れなかった。
明日に備えて早く寝ようと
ただいま、9時。
いくらなんでもこの時間に寝るのは
小学校1年生くらい以来だった。
母さんは不思議そうに僕を見つめ、
「あんた、具合でも悪いの?」
と心配までされた。
「明日のためだよ」
とだけ言い残し、ベッドに横たわる。

もう…どれくらい立っただろう。
まだ僕は寝付けずにいた。
枕元に置いてある時計を見る。
長針短針どちらともが
上を向いていた。
「12時か…」
そう嘆く僕に次第に眠気が襲う。
その10分後には、
静かな夜にただ寝息だけが
キレイに響いていた。