「ま、待ってくれ!」

 追いかけてくるレオンに振り返り、ギロリと睨みを利かせる。

「いい加減にしろ。そんな事に付き合っているほど暇ではない」

「……」

 黙り込んだ青年に、これで諦めてくれたか……とベリルは小さく溜息を漏らした。

 しかし──

「俺は諦めないからな!」

 叫んで非常階段から降りていった。

「……」

 当惑するように影を見送るベリルに、ダグラスは肩をポンポンと軽く叩いて口の端を吊り上げる。

「残念だったね」

「喜ぶな」