「ん?」

 ベリルが壁から離した右手を、レオンは強く両手で握りしめていた。

 その目は、なんだか潤んでいるようにも……

「……?」

 怪訝な表情を浮かべる彼にレオンは声を大にして言い放つ。

「ベリル! 俺の正室にならないか!?」

「……は?」

 その言葉に一瞬、頭が真っ白になった。

 もちろん、そこにいた全員も同様に呆然とする。

 眉をひそめて見やると、レオンの瞳はキラキラと輝き冗談ではない事が見て取れた。

「勘弁してくれ……」

 ベリルは左手で顔を覆って、深い溜息を吐き出した。