「人から奪い、お前は本当にそれが得られたと感じたか」

 真正面からの問いかけに、レオンは視線を外そうとしたがベリルの視線に絡め取られた。

「奪ったものにあるのは虚しさだけだ。違うか」

「そ、そんなこと……あるものか」

 ベリルは小さく溜息を吐き出し、それまでの視線から柔らかな瞳を向けた。

「己の手で得たものには、例えそれが失敗だったとしても大きな成長があるだろう。お前にはそれがまるで無い。ガキだ」

「な、なんだと!?」

 声を上げたレオンに顔を近づける。

「!」

 整った顔立ちは中性的でもあり、エメラルドのような瞳に吸い込まれそうになった。

「……っ」

 その瞳は全てを見透かしているようで、無意識に目を逸らす。

「奪う事には限界がある。だが、己で得たものに限界は無い」

 それを知れ……ベリルはささやくように発し、立ち上がる。