高い天井に吊り下げられたシャンデリアが微かに透明の音を立て、2つある玉座の向かって右側に女性が上品に腰掛けて入ってきた青年を見つめている。

 見栄えのするドレスに身を包んだ王妃だ。

「あなたがベリル?」

「はい」

 青年にしてみれば、おおよそ似合いそうもない丁寧な言葉を発した。

「よく来てくれました。詳細はランカーに聞いて頂戴」

 美しいブロンドをアップしダイヤの散りばめられた髪飾りが輝く。

 王妃は青い瞳で青年をじっくり眺めると、納得したように数回頷いた。

 それは『合格』を意味しているのだろう、それだけ告げると部屋から出て行った。


「ベリル」

「ん?」

 振り返るとランカーが親指を示し、「君の部屋に案内する」とあごで促した。