「!」

 ハッ!? こうしてはいられない。逃げなくては! レオンは我に返って非常階段に向かう。

 しかし──

「うわっ!?」

 目の前の壁にナイフが勢いよく、ダン! と突き刺さった。

「う……」

 ナイフが投げられた先に目を向けると、ベリルが無表情で見つめていた。

「どこに行く」

 無表情というのが恐怖をかき立てる。

「!」

 ゆっくりと近づいてくるベリルに体が震え、その目に腰が砕けた。

 体を支えきれず、へなへなと力なくへたり込んだ。