「やあ、こんにちは。ノエル王女はご機嫌麗しく」

「……レオン皇子」

 ランカーは絞り出すような声で、その青年の名を口にした。

 艶のある漆黒の髪をさらりと流し、切れ長の目でランカーを見たレオン皇子は、ベリルを一瞥する。

「君が雇ったその男、少し調べさせてもらったよ。まさか傭兵なんて使い物になるとでも思ったのかい?」

 フフン……と鼻で笑った。

「君たちの情報は筒抜けなんだよ。だから、先手を打たせてもらった」

「!」

 内通者がいるという事なのか? ランカーとアライアは驚いたが、彼が言っている情報はベリルがホテルに乗り込む事じゃなく

「ガードを雇う」という部分なのだろう。

 その情報なら簡単に入手できる。