「探してほしい人物がいる、フォシエント皇国のレオン皇子だ。日本にいる」

 ベリルはおもむろに携帯を取り出し、それだけ言って通話を切った。

「さてと」

 そしてベリルは小さく溜息を吐き出すと、ノエルのいる部屋のドアを一瞥する。

「アライア、王女を連れてきてくれないかね」

「わかった」

 その間に、買ってきたものをテーブルに並べた。

「ブッ!」

 ダグラスはそれに笑いをこらえきれず吹き出した。

「可愛いストラップ。これベリルが買ったの? 似合わないなぁ」

「悪かったな」

「あ、岩おこしだ。これって関西にもあるんだよね」

 アキトが岩おこしの箱を持ち上げる。

「大阪では『カミナリおこし』という」

「!」

 ドアの開く音がして振り返ると、まだ顔が強ばっている王女が恐る恐る姿を現す。