「しかしさ~あんなトコで襲ってくるなんて、そのレオン皇子も随分と危ないねぇ」

 ダグラスが気を取り直して話を戻す。

「うむ」

「俺も、まさかここまでするとは思ってもいなかったよ」

 ランカーは苦い表情を浮かべた。

「これじゃあ、どこにも行けないよね」

「王女が可哀想だな」

 アキトの言葉に、ベリルは少し考えてランカーに目を向けた。

「そのレオン皇子は来ていると思うかね?」

「さあ……多分、来てるんじゃないかな」

「ふむ」

 また何かアブナイコト考えてるな……思案している彼を見て、ダグラスは口の端をつり上げた。

 ベリルの動きは予測不可能だ、次に何をしでかすか解らない。

 5年の間、彼の側にいてそこだけはさすがのダグラスでも読めなかった。