しばらくすると、リムジンは静かに停車した。

 どうやら目的地の近くらしい。

「あのような場所で人が集まる事は避けたい」と、ベリルは付近で止まる事を提案した。

 確かに、こんな大きなリムジンが止まっていれば何事かと見物客が押し寄せても不思議じゃない。

 車から降りる一同に降り注がれる視線──そもそも、彼らが目立たない訳が無い。

 リムジンよりも、そちらを考えるべきだったのではないだろうか。

 人形のように愛くるしい少女と、天使のような微笑みを持つダグラス。主にこの2人が目立っていた。

 サングラスを外せば、ベリルもその仲間入りだ。