エレベータに入り、最上階(ペントハウス)のボタンを押す。

 しばらくの沈黙のあと、男が口を開く。

「申し遅れました。私はランカーと申します。処でその荷物は」

「ああ、気にしないで。彼が作った料理だから」

「なるほど」

「毒なんて入ってないぜ」

 警戒されている事に気付き、慌てて発した。

「大丈夫だよ、ベリルが先に食べるから」

「え?」

「……?」

 怪訝な表情を浮かべる2人に説明する。

「いつもそうなんだ。先に食べて毒味するの」

「へえ……いやでも、死なないんだから毒味しても仕方ないんじゃ?」

「違う違う。死なないだけで、症状は出るの。だから、どんな毒が入れられてるかとか解るんだ」

「へ、へえ~」

 彼ならではの方法だな……と2人は感心した。

「もっとも、それが睡眠薬とかだと眠っちゃうからヤバイけどね~」

 あっけにとられている2人をよそに、ケタケタと笑う。