そうして出発当日──空港は国を挙げての盛大な見送りだ。

「……」

 平和な国なのだな。ベリルは小さく笑ってサングラスをかけた。

 いくら小国とは言っても、テレビカメラが一つも無い訳じゃない。

 王族専用ジェットに乗り込み、ノエル王女の2つ後ろのシートに腰掛ける。

「ベリル、隣に座って。お話がしたいわ」

「解りました」

 素直に従い、アライアの横を通り過ぎるときに軽く睨まれた。

「傭兵ってどんなコトをするの?」

 隣に腰掛けると、さっそく少女は嬉しそうに問いかける。

「大した事はしない。要請を受けて戦うだけです」

「でも、命がかかっているのでしょう?」

「そうだな、レベルはピンキリだ」

 傭兵に興味のある少女は日本に着くまで彼を質問攻めにした。