「さすが傭兵か」

 先ほどとはまるで違い、活き活きと見える青年に小さく溜息を漏らした。

 そんな男の肩を誰かがチョイチョイと指で叩く。

「ん?」

 さらに袖を軽く引っ張られて振り向いた。

「どうした? こんな処に」

「あのね」

 どことなくランカーに似ているその女性は彼の妹、レイナである。王宮の侍女をしていた。

 真っ直ぐに伸びた彼の髪とは違い、緩やかなウェーブを描いている。

 彼女が、すいと何かを差し出した。