「!」

 そこにアライアが入ってくる。青年もベリルに気付いて睨みを利かせた。

 やれやれ、私は彼に嫌われているらしい……肩をすくめて溜息を吐き出しワインを口に含む。

「随分、人気があるじゃないか」

 近づき、嫌味を込めて言い放つ。

 赤茶色短髪と焦げ茶色の瞳にその顔立ちは、まだ成人になりきれていない幼さを残していた。

「それほどでもない」

 挑戦的に見つめる目を一瞥し、しれっと応えた。

「……っ」

 一瞬、体を強ばらせギロリと睨みを利かせる。

 見た目は青年とはいえ年期が違う、その存在感に言葉を詰まらせた。

「はて、何かしたかな」

 フンッ……と鼻を鳴らして食堂から出て行くアライアの背中を見つめ、さして気にもしていない声色でつぶやいた。