「ハァッ!」

 勢いよく馬の腹を蹴り、その脚を速め頬に受ける風を感じて目を細めた。

「どうどう」

 ひとしきり風を楽しみ馬を止め、なだめるようにその首をさする。

「素晴らしい乗りこなしですね」

「馬がいいんだよ」

 発して馬から下り、微笑んで馬の顔を見上げた。

「よく世話されている」

「ありがとうございます」