「見た?」

「見た見た。凄く上品な人よね」

 彼が去ったあと、女の庭師たちは花の手入れをしながら話し合った。

「傭兵って話だったけど。本当?」

「見えないわよね~」

「そんなこともないだろ」

 女たちの会話に、1人の男が割って入る。

「何がよ。ケイオス」

「お前たち、腕を見なかったのか」

「腕?」

 ケイオスと呼ばれた庭師は、自分の腕を見せて説明する。

「筋肉。あれは鍛えられたものだ」

「……」

 男の言葉に2人は考え込んだ。顔ばかり見ていたため、体つきまでは気に留めていなかった。

「そういえば、服装もラフだったわね」

 ジーンズに黒い長袖インナーに白い前開きの半袖シャツを合わせた格好をしていた。