「出発は3日後だ。それまでゆっくりしてくれ」

 言って、部屋から出て行った。

「そう言われてもな」

 この状況で、どうゆっくりすれば良いのか……困ったように扉を見つめる。

「とりあえず寝るか」

 小さく溜息を漏らしベッドに潜り込んだ。

「……」

 静かすぎて返って眠れない。

 傭兵であるベリルは戦場でも眠れる自信があったが、何の音も無い場所ではむしろ眠れない事を知った。

 虫の音でもあればまだマシなのだが……それでも精神的に疲れていたのか、いつの間にか意識は遠ざかっていた。