「で、その皇国の皇子は割と乱暴者でさ。強硬手段を取らないとも限らないんだ」

「レオン皇子といったか」

「そう」

 頷いて青年にすっと写真を手渡す。

「年齢は19歳」

 聞きながら渡された写真を見つめる。

 肩までの黒髪に漆黒の瞳は切れ長で、なかなかの男前だ。しかし、ベリルはその笑顔に眉をひそめる。

 好戦的な一面が、その顔から見て取れたからだ。

「事あるごとにノエル様にアプローチしてくる。むやみに拒否することも国交上、出来ないし」

「ノエル王女は17歳になるのだったな。婚約者は?」

 それに、ランカーは言葉を詰まらせた。

「婚約者はいない……だが」

「付き合っている相手は存在するのだな」

「その部分には触れないでくれ、王も王妃も知らないんだ」

「解った」