「何か問題でも?」

「もう1つ食べようと思っていましたの」

 ダグラスの問いかけに、王女は自分の食べかけのモンブランを見つめた。

「仕方ありません。彼は甘いものが好きで、特にベリルが作った菓子類には目がないんです」

 そして付け加える。

「頼めばまた作ってくれますよ」

「それなら作って欲しいお菓子が」

「何かリクエストでも」

 王女の言葉にベリルが目を向けた。

「はい……あの、クッキーを」

 モジモジと答える。

「クッキー?」とアキト。

「ジンジャークッキーです」

「!」

 その言葉にランカーがぴくりと反応した。以前、侍女が持っていた雑誌に目を通していた記憶が脳裏によみがえる。