「なんだ、これ……」


拓馬はその紙をクシャっと握ると、ポケットに入れて再び辺りを見渡した。


右手には、城。


左手には、草原や家。


確かに、RPGゲームの最初の光景によくある風景だった。


「……ドッキリか何かか?」


全く意味がわからない拓馬。


どうやってこの場所に連れてきた?俺は、車に乗ってたんだぞ……


そのとき、草原を歩く一人の少年が拓馬に声を掛けてきた。


「おう、拓馬。お前、今日は王様に会うんだろ。早く行けよ」


その言葉に、目が点になる拓馬。


「お前、誰だよ?何で俺の名前、知ってんだ?」


とりあえずそう聞いてみるが、返事がない。


「どこだよ、ここ?」


「おう、拓馬。お前、今日は王様に会うんだろ。早く行けよ」


さっきのお爺さんと同じだ。同じトーンで、まるで登録されたセリフのように同じ言葉を繰り返す少年。


「こいつもかよ……」