拓馬は精神を落ち着かせる為、一定の呼吸を繰り返した。


だんだん、ガイコツの足音が小さくなる。


どうやらガイコツは、他の道に進んだようだ。


それでも、拓馬は一定のリズムで歩いた。


そのときだった。前方から、気配を感じる。


人形兵士が現れた。


「くっ……」


剣を構える拓馬。再び自分の体を見た拓馬は、さっき背中を突かれたことを思い出す。


あれで、もし、鎧を着ていなかったら……


バクバクと音を立てる心臓。


それでも拓馬は、グッと剣を握ると人形兵士に切りかかった。


その瞬間、人形兵士も槍を突き出す。


「ひっ」


小さな悲鳴を上げながら、その攻撃を間一髪で避けた拓馬。


さっきよりも、自分の動きが鈍くなっていたのがわかった。


おそらく、恐怖心によるものだろう。


歯をくいしばり、再び全力で切りかかる拓馬。


拓馬の剣は見事に人形兵士の腹部を貫き、人形兵士はバタリと倒れ、消えてなくなった。


1000円が落ちている。それを拾う、拓馬。


「ふぅ……」


そのため息が、震えていることがわかった。


拓馬は、パンパンと両手で自分の頬を叩いた。