気合を入れると、覚悟を決め町の外に繰り出した。


拓馬は、東にあると言っていたジャーミス塔を目指した。


キョロキョロと辺りを見渡しながら歩く。


鎧が完全なときよりも、少し臆病になっていた。


歩いているとき、周りを確認しつつ色々考えた。


そう言えば、ここにきてまだ何も口にしていない。


それなのに、お腹が減らない。トイレにも、行きたくならない。


「ま、ゲームだから、それが当たり前か……」


拓馬は、自分がゲームの世界にいるということを完全に受け入れていることに今更気づいた。


立ち止まるとふと、蘇る現実世界の記憶。


「あー……平和。平和が、いい。なんで、こんな目に……」


そう呟くと、涙が溢れてきた。それをギュッと堪える拓馬。


「やめられねぇ以上……やるしか、ねぇんだ……」


強く思った拓馬は、拳を握り締め再び力強く歩き出した。


そのときだった。背後に、気配を感じる。


「！」