「一緒に……一緒に、行かねぇか?」


「ダメだ」


「なんで?」


「足手まといだ」


「……」


再び、竜太は歩き出した。


拓馬は返す言葉が無く、呆然と立ち尽くした。


竜太が見えなくなってしまった頃、もらった鎧に着替え、再び洞窟を目指して歩き出した。


「なんだったんだ……あいつ……」


考え事をしながら歩いていると、あっという間に洞窟に着いた。


何の躊躇もなく中に入る拓馬は、奥へ奥へと進んでいった。


中は薄暗く、少し寒い。一本道だ。


しばらく歩くと、前方から気配を感じた。


「何か……来る!」


剣を抜き、構える拓馬。


目の前に現れたのは、鎧を着た熊だった。剣は持っていないようだ。


「おおおおおおん!」


雄たけびを上げる熊。目が赤い。足がすくむ拓馬。


「こいつに……勝てるのか?」