そのとき、拓馬は一つのことに気づく。


「あ、竜太!」


「なんだよ?」


「俺、金ねぇよ」


「あ、そうだったな……仕方ねぇ、俺が出してやるよ」


「マジかよ?」


「俺が、金はいらねぇって言ったんだ。お前に金がねぇのは、俺の責任だ」


「竜太……何から何まで、ありがとうな」


「なんだよお前、さっきから謝ったり、礼言ったり……気持ち悪ぃよ」


そのときだった。聞こえる。


ガシャ、ガシャ……


その音に、竜太の表情が消える。


「走れ、拓馬!」


と、突然竜太が走り出す。慌てて、それに続く拓馬。


「なんだよ!ボーンナイトくらい、剣があるじゃねぇか」


「そうじゃねぇんだよ!」


キョロキョロと辺りを見渡しながら走る竜太。すぐ近くに、小さな森林がある。