ホムラからは確かに隕石の影が確認出来たのだが、雅のセンサーにはそれらしい反応はない。

「フューリー、そっちはどうだ。隕石は確認できるか」

 しかし、応答がない。

「フューリー、どうしたんだ。何かあったのか」

 フューリーはホムラと軌道衛星のネットワークに同調しているため、太陽系圏内ならば通信が届かないなどという事態はありえない。

 だが、どうしたことかいくら呼びかけても全く答えない。

「どうしたんだ、一体」

 一孝は苛立って、意味もなくコンソールをコツコツと叩く。

 すると不意に、接触防止用ねの警報が鳴りだした。

「何だ?」

 慌ててモニターに目をやると、何もなかったはずの空間に探していた隕石が姿を現していた。

 直後、巨大な岩塊は忽然と視界から消える。

「どうなってるんだ、これは」

 一孝は唖然として眼前の光景を眺める。

 改めてセンサーを確認するがやはり何も映ってはいない。

 しかし、モニターを凝視した一孝はある異常に気づく。

 映し出された画像のある一部分だけ、完全に空白になっているのだ。

 宇宙空間には様々な浮遊物が存在する。

 全く何もない空間など、あるはずがないのだ。