「実は俺にも一人、娘がいてさ。この年で恥ずかしながら、まだ小学生なんだけどね。去年おっかあが娘を連れて、家を出てってよう。」
はあ、と短く相槌を打つ。
「離婚届けが送られてきて、裁判所に行って手続きして、あれよあれよと離婚成立だよ。慰謝料なし、養育費月2万。そんで月に二回だけ娘に会わせてもらえることになった。」
僕は反応に困り、取り敢えずへえと頷く。
「おっかあにはそりゃ苦労かけたさ。景気が傾いて、経営している工場がたちゆかなくなって、仕方なくそこをたたんだが、借金は残ってよ。今に至るってわけ。」
運転手さんはガムをティッシュでくるむと、備え付けのゴミ箱に捨てた。
「家族ってのはさ、居たら居たで鬱陶しいわ腹立つわなんだよな。でも、傍から居なくなると、これほど寂しいもんはない。この年になって、独りがこれほど堪えるとは思わなかったねえ。」
運転手さんは少ししんみりとして、そう言った。
はあ、と短く相槌を打つ。
「離婚届けが送られてきて、裁判所に行って手続きして、あれよあれよと離婚成立だよ。慰謝料なし、養育費月2万。そんで月に二回だけ娘に会わせてもらえることになった。」
僕は反応に困り、取り敢えずへえと頷く。
「おっかあにはそりゃ苦労かけたさ。景気が傾いて、経営している工場がたちゆかなくなって、仕方なくそこをたたんだが、借金は残ってよ。今に至るってわけ。」
運転手さんはガムをティッシュでくるむと、備え付けのゴミ箱に捨てた。
「家族ってのはさ、居たら居たで鬱陶しいわ腹立つわなんだよな。でも、傍から居なくなると、これほど寂しいもんはない。この年になって、独りがこれほど堪えるとは思わなかったねえ。」
運転手さんは少ししんみりとして、そう言った。
