フェーン・ルード・オム・ファイクリッド ~LeliantⅡ統合版~




「え~と、お気持ちは変わってないかな?」
「お断りしたはずです」

 また、どこか分からない廊下を歩きながら、男が言ってくる。

 今日は、兵士が二人ついてきていた。男は、ぶつぶつと、それじゃしょうがないと繰り返す。

「まあ、君に見せたいものがある。それを見れば君も意見が変わるだろう」
「変わりません」

 また肩を聳やかし、
「気丈なことで」

 と、側の部屋の扉を開けて中を覗き込み、
「うん、ここでいいや。入って」

 リリアが中に入ると、男は扉を背に立った。

「実はね、リリアちゃん。君に犠牲になってもらいたい」

 男は、上着を脱ぎ捨てた。

 兵士が、左右からリリアを抑える。

「あの王子様を殺さず壊せ、って言われてね。

 愛に飢えた子供だ。拠り所を壊すのが一番いい」

 ベルトが、外されて落ちる。

 兵士の手は、振り解けなかった。

「彼の拠り所は、君しかないね?」

 黒い瞳に、怯え。

 ――……や、……やだ……助けて……

「リュシーーーーー!!」



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