フェーン・ルード・オム・ファイクリッド ~LeliantⅡ統合版~



「お前を取引に使ってきた」
 夜。リリアを腕に抱いて、リュシオスが言う。

「お前が惜しければ言うことを聞け、だそうだ」
 リュシオスの手に、力が入った。
「……喪いたくない」

「駄目だよ。リュシー」
 リリアは、彼にしなだれかかりながら言う。

「あたしは、あなたの重荷になりたくない。あなたの意思を曲げさせたくない」

「……だが……」

 弱気になっている。

「駄目だよ。リュシー」
 リリアはまた言う。

 まだ、戸惑っている。

 彼の顔を覆って、唇を寄せた。

「明日、皇帝陛下にお断りして」

 一晩話したが、結局、彼はそうした。

 ――傲慢で我侭で、意味もなくふてぶてしかった彼が、懐かしかった。



◇◆◇◆◇