フェーン・ルード・オム・ファイクリッド ~LeliantⅡ統合版~



「リュシオス君がいないと淋しいね」
 気さくな調子で、男は言う。

 廊下を歩いていた。どこへ向かっているのかも分からない。

「彼、大丈夫かい? 回復したって聞いたけど」
「え?」
「バネットの奴に閉じ込められてたんだろ? 噂になってる」

「そう……ですか。もう大丈夫です」

「話は聞いたよ。国元じゃあまり大事にされてなかったんだろ? お母さんとお姉さんもお気の毒に。

 何でそのリュシオス君が祖国を守ろうとするんだい?」

 リリアは足を止めた。
「つまり、こういうことですか? リュシーが国を売るよう、あたしから言えと」

「話が早い。そういうこと。

 君が言えば、ね。彼は君しか愛してないみたいだし。例のバネットのせいで有名だ」

「お断りします」

「おや、考える暇もなしかね」
 男は、肩をそびやかせた。

「リュシーは国民を守ると言っています。彼の意思なら、あたしも従います」

「愛は強し、かい? 若いね。
 まあいいや、なら戻ろう」


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