あの日の願い【短編】

「いらっしゃいませ」


笑顔で迎えてくれたのは美絵だった。


「あら。来るのなら連絡してくれればよかったのに」


僕の顔見ると眉間に軽く皺を作って不満そうに言う。

ユイは不思議そうな顔で美絵を見ていたが、フッと笑いながら声を掛けた。


「ここがママのケーキ屋さんなの?」


「ママのお店じゃないのよ。働いているだけで」


美絵とユイの声に気が付いた店のマスターが、ひょっこりとカウンターから顔を出してにっこりと微笑んだ。