あの日の願い【短編】

それから間もなく、何とか僕の就職も決まり、安定とまではいかないけれど、なんとかやっていけるような状態になった。

付き合い始めて一年が過ぎた頃、僕は彼女の実家に挨拶に向かった。

彼女との結婚を両親に許可してもらう為に。

ところが彼女の父は、僕らの結婚には大反対だった。

彼女の母も、僕らを支援してはくれなかった。

しかも、挨拶に行ったはずが、僕は彼女の父と大喧嘩をしてしまった。

今考えると、彼女の父親の判断は正しかったのだと思う。

僕はまだまだ生活力のない若造だったから。

同じような立場であれば僕だって反対しただろうと思う。