七年前、ちょうど今と同じ時期に僕は美絵との初めてのデートで深大寺を訪れた。

同じように賽銭をあげて、その後でそばを食べ、ビールを飲んだ。

そして、今日と同じように短冊に願い事を一緒に書いた。


「お互いに見せっこしよっか」


美絵はぱっと自分が書いた短冊を僕に見せた。



『家族がずっと幸せでいられますように』


彼女はとても家族想いだった。

その一方で僕は『就職が決まって安定した生活を送れますように』と利己的な願いを書いていた。

しかし、就職活動がかなり難航していた僕にとって、それは切実な問題だった。


「大丈夫だよ」


何の根拠もない言葉だったけれど、彼女にそう言われると不思議と不安が薄れた。

彼女の言葉には人を安心させる何かがあった。