あの日の願い【短編】

ユイがショートケーキを格闘している間、僕は美絵に深大寺でのユイの様子を話した。


「時間が経つのは早いものね。ユイももう五歳だもの。老けたわね。私たちも」


そう言って美絵はため息をつく。


「ところで、あなたは短冊に何を書いたの?」


七年前の願いは、紆余曲折がありがながらも叶えられた気がする。

彼女の両親との関係は修復したし、僕らも今は幸せだ。

安定とは言い切れないけれど、何とか家族みんながやっていけている。

しかし、今回僕が短冊に書いた願いは絶対に秘密だ。

特に美絵と両親には。


「内緒だよ」


僕の言葉に美絵は「やれやれ」と肩をすくめた。[了]