あの日の願い【短編】

僕が美絵の両親の元を訪れた時、既に彼女のお腹の中にはユイがいた。

唐突に現れた何処の馬の骨かもわからない男から、そんな既成事実突きつけられた彼女の父は、猛烈に怒った。

その日以降、何度も彼女の家に足を運んだけれど、両親の態度は変わらなかった。

僕らは、両親に認めて貰えないまま挙式もあげずに籍を入れ、そしてユイが生まれた。

時期を見計らって再び両親の元を僕らは訪れた。

初めてユイを連れて。

初孫だったせいかもあるかもしれない。

そこから態度が少しずつ軟化して、今では頻繁に実家にお邪魔できるようにまでなった。