「あっ。」
「思い出した?」
思い出した...平川君は、あの時の...ハンカチを拾ってくれた人だ。
「思い...出した。」
「そっか。」
優しく笑う彼の顔は、あの頃の彼と変わらなかった。
「言いたい事って....それだけ?」
「違うよ。」
すると、真剣な顔つきになった。
「ずっと、言いたかった、伝えたかった。」
彼の目は私を捕らえて逃がさない。
「あの日...会った瞬間、俺は旭が好きになった。」
“嘘だよ。”
笑って、そうは言ってくれないの?
平川君の顔を見てみたが、そんな冗談を言うようにはどうしても見れなかった。
だから、本気なんだと改めて気づく。
「....どうして...私なの?」
小さな声で呟いた。
可哀相だ。
彼が...平川君が。
私なんかを好きになるなんて、そんなこと。
駄目なんだ。
私は人を愛しちゃ、
愛する資格なんてない。
また....
ごめんとしか言えないんだろうね。
弱い私は...。