「良かったぁぁ…」


ホッとしたのか桜汰君が大きく息を吐いた


「怒られたらマジへこむってドキドキしちゃったよ…」


クスッ……

その顔が子犬みたいに可愛くて
笑顔になってしまう


「オウタはやく!!」


輪の中に戻った銀星が桜汰君に早く来てほしくて叫んだ


「おぉ!!今行くよ!!」


それに答えるように手を大きく振り上げて笑った


「じゃあ、ちょっと行ってくる。」


「はい。。」


「あっと!!これこれ。ハイ!」


一度背を向けたのにもぉ一度振り向いて

ポケットから出した何かを私の手を置いた


あっ…これ……



手の中に置かれたのは

小さな黒のデシカメだった


「これ……」


「うん。花穂ちゃんの事だから持ってきてないと思って。それで他のお母さん達みたいに俺と銀星を撮ってよ♪」


気づいてたんだ


私が毎年父親参観にはデジカメ持って来ないの


いつも最後の触れ合いの時間
私自身が銀星と一緒に何かやるから
撮る事なんて出来なかった


だからいつの間にか父親参観にデシカメは持って来なくなってた