「桜汰君…」


なんで桜汰君が居るの

今目の前で起きてる出来事に頭が追いついていかない


だって仕事は??

アフレコは??


「ママ、オウタきてくれたんだよ!」


嬉しそうに輪から外れて私の手を引っ張る銀星に我に返る


「なんで!!どおしたの!!」


大きな声で叫んでしまった

一斉に他の人達の視線が私たち3人へと移った


「どうかしましたか?銀星君早く輪の中に入らないと。」


不思議そうに様子を見ていた先生がこちらに近寄ってきた


ど、どしよう…


何て説明したらいい


下手に騒げば桜汰君がタンケンレッドだってバレちゃうよ


「こちらの男の人は??」


父親の居ない銀星に男の人を不審に思った先生が
桜汰君をジッと見た


本当にヤバい!!


「あ、あの…」

「弟です。」


えっ……


弟??


焦って口を開いた私の声に被せるように桜汰君が声を出した


いつもより少しだけ高めの声


「いつも姉と銀星がお世話になってます。普段は県外に居るんですけどたまたま帰ってこれたので急いで来たんです。」


スラスラと訳を話して


「なっ!!姉さん。」


って言ってこっちを向いて笑った