たくさん


たくさん泣いた


その間ずっと


桜汰君は子供でもあやすように


優しく頭を撫でてくれてた



今まで泣くのはいけない事だと思ってたのに


泣いたらやけにスッキリした自分がいる



ウサギみたいに真っ赤になってしまった瞳で


桜汰君を見ると


「スッキリした??」


って穏やかな口調で言った


「うん。何だかまた明日から違う気持ちになれそう…」


「なっ?泣くのも悪くないだろ!!」



笑顔で答える桜汰君の顔は

今までテレビで見てた作られた演技じゃなくて


彼の人間性をそのまま表すような

眩しい笑顔で


私も自然と笑顔になれた



「あの、桜汰君??」


「うん?」


「ありがとう…すごく嬉しかったし、銀星も喜んでて、私も幸せな気分になれたよ。」


腕の中で上目使いで微笑むと



少しだけ桜汰君の顔が赤くなった


「桜汰君??」


「ヤバイって…そんな顔で見つめられるとさ、」


何が??

不思議に思ってたら


「花穂ちゃん、キスしたい。」


「えっ……」


って言われた


キス、、、、



キスって…、、、


ちょっと待って、そんなのダメ!!


って思うのに


桜汰君の真剣な瞳から目がそらせなくて


徐々に近付いてくる綺麗な顔を
ボンヤリ見ていた


唇があと5センチで重なる


桜汰君の息が私の唇に掛かる距離で


「花穂ちゃん…目閉じて…」


甘い声が、降り注ぐ


その言葉に反応して私はそっと目を閉じた……