涙声で答える私の髪を


大きくて柔らかい桜汰君の指がそっと触れる


「花穂ちゃん…泣くことは悪い事じゃないよ?
泣いたり、弱音を吐いたりした後の方が大切だって俺は思うよ

母親だって人間なんだから、色んな感情があって当たり前なんだよ。」


「でも…」


「花穂!!!」


今までちゃん付けだったのに

急に呼び捨てにされた


それだけで心臓が早鐘を討つように


ドクン…ドクン…


と音をたてる


何も言わず視線を彼へと移すと


何の迷いもなく


「一人で頑張り過ぎ、俺を頼れよ…」


って言われた


その瞳に吸い込まれるように


私の瞳から涙が零れ落ちて来て


気付いたら桜汰君の腕に縋り付いて泣いてた



それは


4年分の辛かった事を

全部涙に乗せて洗い流してる気分だった



こんなにも誰かの腕が安心するなんて


4年前の私は瑛二が好きで


それはずっと変わらない想い


でも今は桜汰君に抱かれて泣いてる


何だろう…


凄く不思議だよ…