「桜汰、くん…」


さっきまで銀星が腕の中にいたはずなのに


今は銀星じゃなくて
私が大きな身体に包まれてる


銀星に視線を移したら、
きちんと座布団の上に寝かされていて

気持ち良さそうに寝息をたててた


「花穂ちゃん泣いていいよ?」


「えっ??」


「今まで強く生きなくちゃって必死だったんだろ??
だけどさ、、、、実際辛い事沢山あったんじゃないの?

なんつーかさ、時には弱音吐いたり泣いたりしたっていいんじゃないかな…」



辛い事…


なら沢山あった


周りの家族を見るのが辛かった


日曜日の公園で父親に遊んでもらってる、銀星の友達を見るのも


ファミレスに入るのも…


シングルマザーで大変ねって近所の人に言われることも


本当は


全部毎回泣きなくなった



私だって一人で育てたいわけじゃないのにって……



瑛二の死に納得しながらも


私や銀星を置いて行ってしまったあの人を


どこかで責めてた


「私…本当は、、でも泣くわけにはいかなかったの、泣いたら銀星に申し訳ないような気がして………

だってそうでしょ?泣いたり弱音を吐いちゃったら強い私でいられなくなる…」