『はい』と言いながら渡すと

受け取り優しく銀星へ上着を掛けてくれる



その仕草にいちいちドキドキしてしまうから

桜汰君を見ないようにした



銀星が寝てしまった部屋は静かな空気が流れていて



だけどそれが嫌じゃなくて



むしろ穏やかな気分で


桜汰君が居ることが自然に感じる



お互い黙ったままで時間が過ぎていく中、桜汰君が


「あのさ、花穂ちゃん」


って口を開いた


「なに??」


「こんな事聞いちゃいけないかもだけど…嫌なら答えなくていいから!!
あのさ…銀星のパパは何でいないの?」



…ピクッ



桜汰君が発した言葉に動きが止まる


「あの……」


銀星のパパ、、、


戸惑う私に申し訳ないと感じたのか


「ごめん…不謹慎だよな…無理しなくていいから。忘れて。」


頭を掻きながら謝ってくれた



だけど私は、普段なら自分の過去なんて絶対言わないのに


だって人に話すって事は
瑛二の死を思い出すことだから


嫌だった……


それなのに桜汰君には聞いて欲しいって



何でそぉ思ったのかは分からないけど


「いいの…聞いて…」


って話し始めてた