映画が始まり、観客が真剣に画面を見ているなか、私は涙が溢れて止まらなかった‥‥


これは、


この勇者は桜汰君だ‥‥


小さかった時の彼の心だ



お父さんとの絆を守りたくて、ひたすら愛俚沙さんと戦っていた桜汰君の事‥‥




傷つき倒れ、瞳を閉じた勇者の前に現れたのは、独りの女の人

彼女は、連れていた息子と共に勇者を家へ運んだ



献身的に尽くす彼女のお陰で勇者は目を覚ます


彼女の優しさに胸打たれた勇者は、彼女の息子と共に静かな生活を送り出した


勇者に芽生えた新しい感情、世の中ではなく、息子を独りて育てる彼女を守りたいと思った



やがて二人に試練が訪れる


悪が復活したのだ




勇者は悩んだ‥‥誰も居なかった昔の自分は強かった

だが今の自分は、愛する人が出来た自分は、死を恐れていた


世界を守らなくてはいけない、でも彼女を失いたくない‥‥

そんな勇者の気持ちを見抜いた悪は、彼を闇に閉じ込めた

何も見えない世界、、その方が楽だった
彼女からも目を逸らし、死への恐怖からも解放してくれる闇
何日も、何日も闇の中で眠りつづけた‥‥‥